詩人:番犬
もう夢やら目的やらを失って
干からびたはずの血管に
緩めの柔らかなビートを流し込む
すると鼓動を打つんだ
また始まったと言い換えてもいい
固い大地に楔を打ち込んで
未発見の遺跡を発掘するように
テクニクスの針先や
レコードのジャケットが
逞しい厚みのスコップみたいに
ぼんやりとした月の裏側や
遠い星の終わり方を見せてくれる
退屈に過ぎる1日を生きるのは
斬新なアイデアとの出会いの為だ
鬱蒼とした森に迷い込んだが
小さく踊る木漏れ日を見つけた感覚
灰色の街や瓦礫の頂上でも
本質は変わらない
それらを詩って奴に還元するとな
今まで読んだ事もない
体験した事もないようなトリップが
そこに現れるって訳さ
感謝しなきゃな
目を開いたばかりの俺に
飛び込んできたこの完璧な世界に