詩人:どるとる
暗闇に浮かぶスクリーンには
誰かの 人生が 延々と映るのです
喜劇のような悲劇のような
愛憎劇のような
映画を観ているような気分で眺めてる
自分の事さえもまるで他人ごとのように
客観的に見つめれば悲しみも少しは ちっぽけに思えるかな
早送りも巻き戻しも出来ない
フィルムの中で 続いていく
一度きりの 長編映画
たったひとつの世界の中に
人の数だけ無数にあるストーリー
命の生き様を描くシネマ
映写機なんて 都合のいいものはなく
目を閉じても消えない世界が
痛みや 雨の冷たさや
陽射しの暖かさで
生きていることを伝えてる
他人と痛みを共有することはできない
だけどわかったように 他人の気持ちになることは出来る
気に入らなければ席を外すように
その場から立ち去ればいい
でもそれは死を意味するんだ
人の幸せや悲しみを余すことなく映す
フィルムの中で続いていく毎日は
明日から明日へつながってゆく
僕が観ている映画の続きを
いつか誰かも観るのかなあ
そして僕と同じように
笑ったり泣いたりして
いつかエンドロールを 迎えるのかなあ
その時、世界は君の瞳にどんなふうに映るのかなあ
早送りも巻き戻しも出来ない
フィルムの中で 続いていく
一度きりの 長編映画
たったひとつの世界の中に
人の数だけ無数にあるストーリー
命の生き様を描くシネマ
また誰かの物語がスクリーンに映る
タイトルなんてないけど
そこに映る物語は
きっと 命懸けのあなただけのシネマ。