詩人:甘味亭 真朱麻呂
夏のある日の午後
日溜まりの中にぽつりぽつり咲く紫色の紫陽花
梅雨の雨に濡れて瑞々しく咲き誇っている
太陽の日を浴びて
こんなにキレイに咲いている紫陽花を見るのも
なんだか久しぶりだな
ゆっくりする暇もなかったから
なんだか普段見るよりも紫陽花がキレイに見えるから不思議だな
こんな普通の日常の中にある
ふとした幸せに気づけた僕は幸せなんだろうな
雨上がりの空に架かった虹のように
美しいものはすぐに消えてしまうけど
きっとだから美しいものを素直に美しいと思えるんだ
短い命だとしても立派に生きた証がちゃんと残っているように
きっと紫陽花が咲いていたという事実は僕の瞳は誰よりも覚えてる
そんなことを思ったあれから何年経ったか
紫陽花の咲く庭で
あの紫陽花は散ってしまったけど僕は未だに覚えてる。