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詩人:どるとる
僕が嘘だとしたら
あなたも嘘になる
あなたが嘘ならば
僕も嘘になるのさ
誰ひとりとして
欠けていたならば
この世界はなかった
今存在するすべてが本当のことなんだ
だからこそ僕らここにいて生きている
それを嘘だと疑う余地などないほどに
真実味を語るまでもなく君は僕同様に生きているのです
誰もが誰も同じ尊厳をもってるんだ
オオカミ少年 嘘ばかり
最後はオオカミの胃袋の中
でも忘れないで
嘘ばかりつかなくても
最後は誰も胃袋よりずっと暗い闇の中に消えるのさ
溶けてしまう
溶けてしまう
命は胃液よりも早く溶かされて そしてきれいさっぱりなくなる
何事もなかったように
当たり前なことをなぜこんなに語るのか
それは当たり前だから とても悲しいから
あなたが消えるまえに僕は君の存在をちゃんと心の瞳で確かめておきたいから
目に見えるすべてだけじゃ疑わしいから
僕らの存在のからくりを もし答えられたならその瞬間から僕らは生きる意味をなくす
不思議なことだから僕らはそれを解き明かそうとずっとずっと生きていけるんだ
解けないかぎりは
解こうとしていながらも解けないことを楽しんでるから
ああ なぜこんなに命輝く日々なのに
なぜ こんなに幸せな世界に生まれたのに
なぜ 僕らは時に己の確かであるはずの存在を否定するのかな
説明できなくたってそんなもの必要ないのにね
人はなんでもかんでも理屈で語ろうとするから面倒くさいね
不思議なものは
不思議なままで
いいじゃないか
簡単に解けたら
僕らはただの計算し終わった計算式みたいになるだろう
つまらないよ
そんなの
いつまでも不思議なままでいいくらい
不思議だから僕らはここにいてその不思議に永遠にも立ち向かってゆくんだ
何億 何兆年先も
人は己の存在に首を捻りながらも笑う。