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[150721] はじまりの涙

詩人:どるとる


はじまりのスタート地点から走り出して
今にたどり着くまで
どれだけ笑いどれだけ泣いてきただろう
曖昧な記憶を探ってみても
今や昔話

悲しいことに時間は過ぎて
嬉しいことにも時間は過ぎて
そのうちなんのために生きてるのかも
わからなくなって
ふと立ち止まるともどれぬ道に何か置いてきた
そんな気がしてさ
なんでだかわからないけれど涙がほほを伝った

手を大きく振り上げてどこまで飛べるかな 今 立ち向かおう
空より高く高く飛ぶような気持ちで踏み込んだ未来

光り輝く出来事ばかりじゃない
計算なんかなんの役にも立ちはしない
頑張った数でもない
その量でもない
大切なのはどれだけ一度きりの瞬間のひとつひとつを本気で生きたかにあるのさ

さあ 走り出すなら今しかないだろう
はじまりの朝焼けがほら 夜を吹き飛ばす
はじまりの涙 今 こぼれて 僕の中に広がる迷いを打ち消した
ろくでもない言葉
くだらないことで苛立ち蹴り飛ばした部屋の壁
ぐしゃぐしゃに丸めて道端に捨てた正義
そんなものもすべて洗われるような素晴らしい光がその涙から見えるのさ
ほら はじまりを告げるには最高の合図だろう
意味なんかなくたっていいんだ
理由なき喜び
今 胸をぬらしたよ
そして微笑む僕だった

はじまりのスタート地点から走り出して
たどり着いた場所がこの場所で良かった
めずらしいものや
特別なものなど
何ひとつないけれど
ここには僕を幸せにするありふれた幸せが咲いている
それをただ なんとなく 眺めてるだけで毎日はなだらかになめらかに過ぎて行く
時おり 行く手阻む悲しみさえやさしく包み
おだやかな夢の中へ僕をはこんでくれる
傷跡を癒やす時間をくれる

ああ 涙 流れれば
目に映る世界は忽ち色鮮やかに見違える
色とりどりの絵みたいにほら すごく綺麗

ふしぎと涙流れても心地いいから。

2009/12/02 (Wed)
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