詩人:どるとる
下りの電車 外はもういつのまにやら真っ暗
中央線の窓から見える満月 いつもながらに結構なお手前で
朧気なその月明かりが電車の車体をすり抜けて僕を照らしてる気がした
窓をそっと開けたなら夜風が髪を撫でる
少し寒いけど僕にはやさしく思えたよ
電車はやがて終点にたどり着いて
僕はひとり 誰もいないホームをとぼとぼ歩き改札をぬける
世界は広いけど僕の見てる世界はまるで鳥かご
ポケットの中の孤独と自分の体温
それだけじゃまだ足りないや
だから君なんだ
だからこその君だよ
中央線ラプソディ
君の心に届け
弱い雨だったから
傘をささずに
またとぼとぼ
アパートへ
向かって歩く
こんな切なさも
またいいね
なんてこぼす僕が今は精一杯
これ以上でもこれ以下でもない僕が目一杯
ほらね 小さな生活の中で動けない僕も君がいるからどうでもよくなる
そんな気持ち
寄せ集めて
今 唄う
悲しみと
やさしさの
中間に位置する
悲しみでも
やさしさでもない
唄という詩を
ずっと遠い未来とすぐ近くの未来すべてに唄い詩う。