詩人:どるとる
夕暮れを追い越して
夕闇に包まれた道
河原の向こう電車が通り過ぎる
今日もまた一日が
終わってゆく
それは流れるように
あるいは
流されるように
誰かの寂しさだったり
悲しさだったり
逃げ場をなくした気持ちが 見えるようで
目を閉じて
耳をふさいでた
何も 見たくなくて
何も 聞きたくなくて
世界から 逃げていたのは僕のほうだった
僕のほうだったよ
影法師 2つ並べて
手をつないで帰る
つながれてると安心するんだ
温もりが 灯れば
優しさが
そっと広がってゆく
まるで波紋のように
言葉にならない思いや
誰にも打ち明けられない傷跡が ところ狭しと
見えないふりしても
聞こえないふりしても
世界はそこにあって
消える筈もなくて
明日も 夜は明けて 世界に朝が 来る
朝が来るんだよ
ページの向こうへ
物語は 足早に
進んでいって
遠ざかるほどに
もう取り戻せない
いくつもの 何かを
残してく 僕はそれを知っている筈なのに
手を伸ばすことさえ恐れている
目を閉じて
耳をふさいでた
何も 見たくなくて
何も 聞きたくなくて
世界から 逃げていたのは僕のほうだった
僕のほうだったよ。