詩人:甘味亭 真朱麻呂
窓際の隅っこに
ポツンと置いてある
いつかマーケットで買った
学名も知らないトゲトゲしたサボテン
小さな花を咲かせて
シンプルで地味な植木鉢にすっぽりからだをうめて
なにも不満を言うわけでもなく
静かに窓際の隅っこ
咲いていた
僕もサボテンみたいに
一日のほとんどを家で過ごす
引きこもりの少年みたいに
背中を丸めて
カーテンを閉め切って
これじゃまるで植物人間みたいだな
本当にそうだったら
きっとそうとう落ち込むなぁ
でも落ち込めもしないのかなぁ
一定のリズムで波打つなんかの機械で生かされてる
ただそれだけの植物人間
そんなの嫌だけど
僕には関わりのない世界の話だ
カーテンとカーテンの隙間から
のぞく青空
さっきまでの雨はどうやら通り雨
ほらまたすぐに太陽が照り始める
薄目で見上げた晴れた空
上着を着たら
外へ行こう
散歩がてらもっと近くで空をみたい
普通の人間として
正常な人間として
転げ回って
動き回っていられるうちに
ほら遊んでおこう。