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[188537] 握り拳

詩人:どるとる


「ありがとうや ごめんなさい」
ありふれた言葉の隅っこで
うずくまる 伝えそびれた思い
なにが正しくて なにが間違ってるか
そんな事 誰にもはっきり言えないけど
きっと 誰にでも 伝えたい思いがある

近頃じゃ 挨拶さえまともにしないような
そんな 悲しい現状があるらしい
たたかれて 育った僕らにはわからない
今の子供たちはある意味 かわいそうだね

「たたかれない」から人の痛みがわからない
たとえば悪いことをしたその間違いを正さないままじゃ
なにが間違いなのかもわからないだろう
だから そんな時代だからこそ 握り拳をかためて
愛をかたどるように殴るくらいの気持ちで
子供と向き合うべきだと思う
そのための 握り拳なら少しも 痛くない

悪いことをしたから
助けてもらったから
生まれる言葉のはずなのに
それさえまともに出来ない
助けられたなら助けられたまま
悪いことをしても謝らないまま
そんな事 誰かがおかしいと言えなきゃ

誰も正しさや間違いを教えてくれない
うざったいの一言で親の言葉に耳をふさぎ
こぼしまくった言い訳の後始末もせずに
たたかれないのをいいことに
ドアを閉めてそこから出ようともしない

たたかれるってことは愛されているからだ
それなのに暴力ととられちゃ 心外だ
たたかない大人が増えていったら 傷ひとつない子供が
やがて大人になって 痛みを知らない大人になって
誰かを 平気で傷つける だって痛みを知らないから
人を傷つけることが如何に愚かなことか知らないんだろう

当たり前な話しさ

正しさや間違いを教えるのはいつも
大人の役目だ だからそのために拳がある
歯を食いしばれ
たたかれたその痛みがやがて
君に教えてくれる
その時の痛みが
自分の痛みと他人の痛みは少しも変わらないこと
あまんじてうけなさい 愛という握り拳を。

2015/06/22 (Mon)
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