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詩人:どるとる
正体不明の悲しみにいつも僕は苛まれているんだ
誰に聞いても適当でない返事に心は音を立ててぐしゃりとつぶれる
百科事典を開いてみても
広辞苑で引いてみても
わからないんだこの悲しみの正体
確かに悲しみなのに
確かに悲しいのにね
なぜ悲しいのかがわからない
とにかく悲しいんだ
ものすごく
君はきっと他人ごとだと笑うんだろう
なれてるからねべつにいいけどね
わかってても聞いてしまう 僕もバカだよな
この悲しみがわかるかい?
僕の気持ちがわかるかい?
世界中でただひとりだけ
君だけがわかってくれる悲しみ
そんな美しいきれい事がもしも通用するというなら
きっと君はわかってくれる 悲しみのすべて
生まれただけで
一挙に背負う悲しみ
生きてるだけで
日々、背負う悲しみ
消えない不安と
もどかしい何か
荷をおろせるのは
死んだあとだけで
生きているかぎりはどんな悲しみも消えないで存在するすべての人へ残酷なくらい冷たい雨を降らせるんだ
目隠しして視界を真っ暗にしたら
まるで死んだようさ
でも逃げられない
死ぬ勇気も暗闇へ逃げる勇気もどうやら僕には皆無らしい
それでも
僕は聞きたい
君がもし優しい人だったら
わからなくても頷くくらいはしてくれる
見え透いた嘘で救われる心は単純だよな
この悲しみが憎たらしい
君の心も平気で揺り動かすから
世界中でただひとりだけ
君だけが解き明かそうとしてくれた悲しみ
もしきれい事だとしても構わない構わないのさ
きっと君はわかってくれる 悲しみのすべて
涙の意味や僕の痛み
うまくはわからなくてもわかろうとしてくれるだけで僕はもう救われたも同じなのさ
そんな君に出会えてよかった
ただそれだけが生きてきてよかったと思える
僕が見えた最初で最後の光
消えないように守りつづけるんだ
君と二人で
永久に消えない悲しみに晒さぬよう。