詩人:はるか
少しだけ歳をとった父が ある日懐から取り出した覗き込んでみればそれは 若き日の母の笑顔照れ臭そうに薄くなった額に手をあて 笑う結婚記念日も誕生日すらも覚えてなくてありがとうなんて口が裂けても言わないくせにそんな父の妙に可愛いらしい姿深く長い時を経て尚も 色褪せぬ若き日の想い互いが持つ半分ずつの糸を固く結び離れぬようにと離さぬようにと十年後も五十年後も変わらず君を愛す変わらずに君を 愛す