詩人:栢徠
水の音が聞こえた
その音が小川のせせらぎだったのか
雨粒が窓を叩く音だったのか
海の波の音だったのか
その時の私にはわからなかった
風の音が聞こえた
その音が草原を吹き抜ける音だったのか
台風の様に荒々しい音だったのか
木々を優しく揺らす音だったのか
その時の私にはわからなかった
誰かの声が聞こえた
その声が私を呼ぶものだったのか誰かを怒鳴り散らすものだったのか
誰かの謝罪の声だったのか
その時の私にはわからなかった
だって、その時の私は『無』だったから
2007/03/17 (Sat)