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詩人:矢井 結緒
外出前も帰宅後も
直ぐにシャワーを浴びて
その日着た物は
その日のうちに洗濯する
消毒用アルコールを
フロアにスプレーして
掃除機をかけた後
拭き掃除するのが日課
電車の吊り革は
ハンカチで被って握る
カフェのティーカップさえ
信用出来ない
「俺も汚いのか?」
ある夜、終わった後
急いでシャワーを
浴びに行こうとしたら
彼が憐れむような
哀しそうな顔をした
「ごめんね
あたしの方が汚れてるの」
シャワーを出たら
彼はもういないだろうと
涙も一緒に排水溝に流れた
その夜
わたしはアルコールで
内臓を綺麗に洗浄した