詩人:どるとる
夜の端っこにはじかれて ひとり立ちつくすはこの僕
どんな光もどんな明かりもこの悲しみ癒すには小さすぎて
そして僕の心は脆すぎて
今日も時間に背中を執拗なほどぐっと押され列車の中へ押し込まれた
この列車は行き先のない列車
ただ明日という名前の駅へ着くらしい
でもそこからはどこへ目指すかは決まってないらしい
はじめてこの列車に押し込まれたときに
名もない花の僕はただされるがまま列車に乗り眠ってた
そして着いた場所で
僕はただ途方に暮れて
茜色に染まる空を眺めた
行き先のない列車は
夢を持たない人も
夢を持った人も
関係なくみんなみんな乗せてまた走り出す
時間というレールのうえを走り
運命という薪をくべ
得体もしれない車掌が合図をおくり
汽笛を鳴らして
今日という名もない駅から明日という駅へ向かって走り出す
24時間を乗客の寿命から差し引いて何が何でも眠らせようとする 夜をつかって
どうせ 名もない
駅ならと明日も今日と呼んでる自分たち
ほら 行き先は決まってるだろう
明日という名の今日さ
今日と同じ場所だろう
僕はまた夜が来たからと眠り朝が来れば目覚めまたうつろな生活を繰り返す
夢だなんて見るゆとりはない
理想だなんて描く余裕もない
生きることだけでも精一杯なのさ
笑いたくても苦笑いが関の山
列車は走る 今日も
当たり前のように
僕らを乗せて
1日の最後に僕は決まって言う
「生きたくて生きてるわけじゃない
死ぬのがこわいから生きるしかないだけだ
生まれなかったらこんなこと思うこともなかったよ
ああ生まれなきゃよかった…」
そんな罰当たりなことを
でも本心なんだ
ぬぐえないんだ
今も きっと明日も
いつまでも
あの日、この世界で目覚めてしまったからには今さら眠れやしないんだ
だから明日はかならず僕を起こすよ
それが僕が望まざるを負えない選択。