詩人:高級スプーン
「髪型変えたの」
気付かない
「眼鏡を替えたの」
気付かない
「この服買ったの」
気付かない
違うマニキュア
違うカバン
違う香水
違うピアス
何をやっても気付かない
それでもアナタ
傷付かない?
別にいいけど
別にいいんだけど
少しくらい
普通はさぁ
ねぇ?
別にいいけど
そんな強がりも
カレはまったく
気付かない
冷たい視線に
かろうじて
気付けたカレは
反省し
カノジョの変化に
気を配り
言いました
「昨日と雰囲気違うね」
言ってみたけど
分からない
「昨日と雰囲気違うね」
本当にそうか
分からない
「昨日と雰囲気違うね」
だんだん自信が
なくなって
「昨日と雰囲気違うね」
結局
心の中だけで
実際
何も言ってません
ダメだ!ダメだ!
もう一回
髪型変えたの?
「先週ね」
少しやせた?
「変わってないし」
今日はカワイイね
「今日、は?」
二重に整形?
「アイプチだから!」
ドブネズミみたいに美し…
「はい殺す」
喜ばせようと言ったのに
笑顔は消えて
角が生え
鬼の形相
ヤバいぞこれは
何か言わなきゃ
怒っていてもキレ…
「別れましょ」
やっぱり
ダメでした