詩人:どるとる
行方知らずの神様は僕の動向を試している
泣いたり 笑ったり それなりに忙しい毎日だ
誰かの噂だったり つまらない陰口が
耳をふさいだって視界にも映る
汚い落書きで埋められた
高架下のアスファルトの壁に書かれた
「愛してくれ」の文字が悲しく見えたのはなぜかな
誰だってそれぞれの悲しみを抱えながら
今日という日をきっと一生懸命に生きていて
誰かを愛したくて誰かに愛されたくて
思い思いに生きているのに なぜだろう
当の僕は どちらも持ってはいない
だから憧れるんだ
独りに慣れたのに気付くと人肌のぬくもりを
欲しがっている自分に気付くととたんに寂しくなる
わずか数ヶ月で別れを告げた恋人に
僕が求めていたのは愛なんかじゃないね
快楽とか ちょっとした暇潰しみたいな気まぐれで
君を見ていた気がするよ だから気持ちよさも嘘だ
誰だって誰かにそばにいてほしいと願う
たとえば薄汚れた愛でも愛には違いなくて
それでもきっと僕は君を愛していて
心の底から君を愛したのに なぜだろう
いつの間にか僕のほうから離れていた
だから君は悪くないんだ
腐るほどあふれた人の中にいると思うことがある
なぜこんなに人がいるのに心が見えないんだろう
みんな心についたてをして隠したがるのはなぜだろう
やましいことがあるのかなあ 僕はふいに寂しくなった
誰かに抱かれていないと生きてる心地が無くなっちゃうんだ
誰だってそれぞれの悲しみを抱えながら
今日という日をきっと一生懸命に生きていて
誰かを愛したくて誰かに愛されたくて
思い思いに生きているのに なぜだろう
当の僕は どちらも持ってはいない
だから憧れるんだ。