詩人:どるとる
行く宛などない 僕たちには
空の終わりをただ目指すだけの旅だから
いつか 訪れるであろう 死から逃れるすべなどはないことくらい
とっくに気づいているんだ
いつからが始まりで
いつまでが終わりなのか
線で結ぶように何もかもを割りきれない
この世界は続いていく それでも今日とこれから先の途方もなく長い時間を何処までもつなげて
それならこの雨が降りやむことさえも
僕には 少なくとも未来だ
誰かが見ることのできない景色や 出会うことのできない感情を
僕は眺めている そのまなざしの向こうには何があるんだろう
たとえば 言葉を介さず存在する花が この世界を見つめたとき
生まれる気持ちが僕と同じなら いいな なんて思う
色さえもない 形も持たない
命は価値あるもののように定められ
それなのに僕らは時にその命を虐げて
人に平気でくたばれと言うだろう
昨日まで当たり前に笑っていた人が 信じていた毎日が
あるいは 明日までの幸せならば
それを知らないだけで僕らは 笑っていられる 明日が見えなくてよかった
幸せな今だけを信じていたい心は 悲しい明日を嘘にする
雨を信じたくない心が イメージするのは晴れ渡る空の青
明日の一歩手前で 知らんぷりしている僕は無防備さ
明日傷つくことも知らない今日の僕はなすすべもない
それなら 僕は雨の中に肌をさらしながら
すべてを受け入れるように 雨に うたれている花でいい
誰かが見ることのできない景色や 出会うことのできない感情を
僕は眺めている そのまなざしの向こうには何があるんだろう
たとえば 言葉を介さず存在する花が この世界を見つめたとき
生まれる気持ちが僕と同じなら いいな なんて思う
明日も今日と同じように笑えたならいいなと思う。