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詩人:どるとる
ある眼鏡屋に新商品の眼鏡が発売されていた。
その眼鏡をかけると全然見えない。
それどころか真っ暗な真っ黒な闇が視界を覆う。
これはなんのための眼鏡なのかと店主に聞くと
「ああ、これは目が節穴の人用の眼鏡です。節穴じゃない人がかけても何も見えませんよ」
入れ違いに来店してきた客がその眼鏡をかけて
「これはよく見える。私の節穴の目にぴったりだ。これで私もおまえの目は節穴かなんて言われないですむ。大事なことをもう見逃さないでいられるね」
それを聞いていたが、節穴の目を持っていない彼にはさっぱりその良さがわからなかった。