詩人:千波 一也
うやむやに熔けてしまっていませんか
その夕暮れに
指揮棒に従うことで
いくつの雑音を聞かずに済みましたか
なつかしい歌たちに包まれたい日があります
拒みたい日もあります
狂いの無いものたちだけと
はやく一緒に暮らしたいものです
知っておいでですか
譜面に触れるためには
特別な能力が必要不可欠だとか
知っておいでですか
美しいがゆえに 捨てるものがあり
捨てるがゆえに 燃えるものがあり
燃えるがゆえに 移ろうものがあり
移ろうがゆえに 増えるものがあり
いくつの和音を聞き逃してきましたか
触れているような
そうではないような
永遠というものは
そこで眠っているような気がするのです
じぶんだけ
すやすや
と
奏でるよりも聞き惚れている近況の
わたしの理由の
はんぶんは
そんなところに在ったりします
残りのはんぶんは
曖昧なままにしておきますね
あなたの
その指先のために、