詩人:どるとる
瞳の映写機が 静かに映し出すのは
通りすぎたあの日の僕たちだ
変わらない景色に 変わらない空の色
何もかもがほら昨日のことのようだ
シミひとつない真っ白な心を
笑顔や涙で染めればほら
いつの間にか宝物と呼べるくらい
たくさんの思い出が出来ました
大切な人たちと 笑ったことや泣いたこと
そのすべてを忘れないでいたいと思う
時にすれ違いわかりあえず傷つけた
そんなことさえ思い出と呼べたなら
僕たちは生まれた場所も違えば
好きな食べ物や好みも違うけど
ある瞬間に 気持ちが重なるとき
そこに生まれる愛で結ばれている
人と人とが つながる不思議な縁です
胸の奥にさざ波が押し寄せてくる
満ち引きを繰り返す命の約束ごと
あの日の風の匂い そこに咲いていた花
すべてが幻のように今はふれられない
目を閉じて イメージすれば
どんなときもすぐそばにあるのに
手を伸ばしても追い着けない明日が遠ざかっていくのを見つめていた
今日という何でもない時間も明日になれば
跡形もなく消えてしまうよ だから
何ひとつ名残のないように生きてください
後悔のない日などない それでも
僕たちは 互いに互いを思いあうことで
遠く離れていても心を通わすことができる
その気持ちだけはいつもなくさないように
切れない丈夫な糸で結ばれている
一人一人を つなぐ 不思議な縁です
家族でも恋人でも友達でも
そこに気持ちがあるなら
縁は 絶えず生まれ
人と人をつなぐ
見えない 糸を紡ぎ
蜘蛛の巣のように
ひとつの美しい螺旋を描く。