詩人:どるとる
たしかなものなんて何ひとつなくていい
不確かなものばかりの世界には
こんな曖昧であやふやな色がお似合いさ
笑ったそばから泣いてしまうよ
悲しむ前からずっと悲しいかのように
まるで行ったり来たりの振り子のようだ
淡雪みたいに ふれたそばからとけてしまいそうな思いを
たとえば言葉にしたなら 君は笑ってくれるだろうか
世界は 昨日よりずっと心なしか 遠くなっている
そんな気がするのは空を見上げすぎているからかな
降りだした雨を よけるための傘なら
これを使うといい お古だけど使い勝手がいい
あたためておいたんだ わがままな誰かさんのために
跡形もなくなってしまうけど それでもいいんだ
そして冬を迎えた街を白く染める
凍りついたような街は 誰かを思う気持ちまで白く染めて
届かないと知りながら僕は君にぐっと手を伸ばす
汚れのない白さに染まるほど僕は自分の汚さに気づく
そんな気がするのは 気のせいなんかじゃなさそうさ
クリスマスを間近にひかえた街並みは
どこかそわそわと忙しない
きらびやかな装飾と輝く星で あしらったツリーは 見ものだね
今年も見れるかなあ
淡雪みたいに ふれたそばからとけてしまいそうな思いを
たとえば言葉にしたなら 君は笑ってくれるだろうか
世界は 昨日よりずっと心なしか 遠くなっている
そんな気がするのは空を見上げすぎているからかな。