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[55650] 渡礁

詩人:遥 カズナ

夜も明け切らぬ荒磯に降り

喧しい波の音と

いそいそとした空に挟まれて

愛竿を手に深く息を漏らす時

何も楽しい気持ちはありはしない




期待と寝ずの倦怠感が

潮の香りと渦を巻き

騒がしく背中の方で私を軽く持ち上げてしまいそうになるのだ




「落ち着くのだ」




やがて

ぼんやりとしてはいても

夜が明ける程に黒く鮮明な釣り人と鋭い竿のシルエットが

朝焼けに立つ




「もう何も迷う事等無い」




穂先は空を切り

固い意思は

しっかりと鳴り響いた。

2006/02/23 (Thu)
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