詩人:遥 カズナ
夜も明け切らぬ荒磯に降り喧しい波の音といそいそとした空に挟まれて愛竿を手に深く息を漏らす時何も楽しい気持ちはありはしない期待と寝ずの倦怠感が潮の香りと渦を巻き騒がしく背中の方で私を軽く持ち上げてしまいそうになるのだ「落ち着くのだ」やがてぼんやりとしてはいても夜が明ける程に黒く鮮明な釣り人と鋭い竿のシルエットが朝焼けに立つ「もう何も迷う事等無い」穂先は空を切り固い意思はしっかりと鳴り響いた。