詩人:都森 善太
忘れられていくのは死ぬより怖い
忘れていくのは死ぬより怖い
行動原理
あいさつの代わりに
詩で伝えて何かを残したかった
言葉以上の何かを
それは
夕陽に映る電柱のシルエット
新しい紙の匂いと捲る指先
風に混ざる季節の匂い
お気に入りのスニーカーの感触
手紙を待つ緊張感
初めて出会った一日が終わる瞬間
二人だけで雪の上に残した足跡
別れに涙した時
すべてが大切すぎて
また欲張りになる
いつも一番に分からなくなるのは
自分だったり
当たり前だけど
詩を書く自分
詩そのものに
そいつが嫌いだった
ほんの一瞬前ですら
それはもう過ぎ去った過去で
過去としての自分は
読み返した所で
ただただ虚しい
そうだろうか
連続していくコマの中で
立ち止まる事なんて出来はしない
動きを止める事は許されていない
それくらいならば
ひねくれた
後ろ向き歩きでも
ただ前に進むだけ
ただ前に進んだだけ
それを語る時間は与えられるんだ