詩人:どるとる
光よりも 目映いくらいの
音よりも 少しばかり数歩、足早
ヒーローみたいに 呼べばすぐに
来てくれそうな 正義印の音速ライナー
そろそろ本気ってやつを見せてくれないか
さっきまでの威勢はどうした?さあ軽くあしらってやれ
悲しみなんかに負けてやるものか
何度だって 何度だって転びながら 躓きながら這い上がる 立ち上がる
悪あがきで結構 無駄骨で結構
わかっているんだ 知っているんだ
それでも僕は格好だけでもいいから
ヒーローを気取りたくて
あわよくば そう呼ばれたくてがむしゃらに走る
病んだような 目をしている
人々に あてられないように帯を結び直す
悪魔のような 思考回路が働いて でも悪者になりきれずどっちつかず
いつまで待たせるんだよ いつになれば飛べるの?
空を飛ぶことを恐れる鳥などいない
だが人間は空を飛べるようにはあいにく出来てない
よって足が羽がわり
きれいごと おべんちゃら
それらにまみれて我を失う 心よ目を醒ませ
夢見がちで結構 独り善がり本望
それくらいがちょうどいいんだよ
胸にお決まりのSマーク あるいはスパイダーを模したスーツ
蝙蝠印の全身 黒ずくめ そんなアメコミみたいなヒーローよりは幾分リアル
闘う敵など いない
果たしてそうか
本当にそうか
心に負けない
自分に負けない
弱さに負けない
闘うべきものなら
見えないだけで
たくさんあるよ、ここに
何度だって 何度だって転びながら 躓きながら這い上がる 立ち上がる
悪あがきで結構 無駄骨で結構
わかっているんだ 知っているんだ
それでも僕は格好だけでもいいから
ヒーローを気取りたくて
あわよくば そう呼ばれたくてがむしゃらに走る
闇雲に生きる
そうしていつの間にか僕の中に生まれる正義の旗印。