詩人:どるとる
君に伝えたいことが多すぎて
どれから先に伝えたらいいかわからなくなってしまうよ
こんなに近くにいつもいるのにね
心もこんなに近いのにね
言葉はその距離が嘘のようにはるか彼方
もじもじ
こそこそ
恥じらい咲いた
勇気はあっけなく
散ってった
かくかくしかじかなのさ
君に伝えたいことはいつだって
かくかくしかじかなんだ
それじゃわからない
いくらなんだって
でも いくら言おうとしても出てくる言葉はちっぽけなおせじばかり
走り出した季節
はじまりの予感
そして風にとばされた勇気の行方
今も探してる
探してるふりで新しい勇気つくりだす勇気もないまま
通り過ぎる季節にまた僕はぺこりと頭さげるだけで何も言えなかった
とりあえず黙秘権で逃げ通そうとする自分が笑うだけ
言いたいことは
言うべきことは
かくかくしかじかなんて曖昧なものじゃない
でもね今日もまたかくかくしかじかで逃げてきてしまった
さよならと手を振る
君に振り返ることもできずに僕は夕闇に溶けて消えた
色あせた毛糸のマフラーたなびかせて
ため息の霧に紛れ
嫌みのように
きらめく街へ消えた
好きだよ 大好きだよ
それさえ言えないまま
視点の合わない日々を
さまよい歩く 僕だよ
持てあましてる優しさと誰かのぬくもり欲してるこの手の切なさよ 雪が降り出すまえにどうか言えますように
僕は願う 空に。