詩人:どるとる
まぶたを閉じてみるとき いろんなことがまぶたの裏浮かんで
例えば昨日のこともまるで嘘のよう
時計が回る 僕は置き去りの笑顔を
取り戻すことが出来ずに今日も泣いていた
だんだんと季節は移ろいながら僕を大人という呼び名にふさわしい体にしてゆく
ほつれていく時間がまたひとつ何かを僕から奪ってゆく
いくら走ってももう追い着けず振り返れば手の届かないものばかりだな
気づいたんだ 生まれたときから生まれていたほころび
僕はいつか終わる物語を読んでいる
口をそっと閉ざすとき見えなかったものが見えてくる
忘れていたことも鮮やかに今、思い出す
夜が朝になる 朝が夜になる
その繰り返しの先で僕は消えてしまうんだね
だんだんと知りたくないことも僕の体をかえして老いというものを伝える
遠ざかってゆくものを僕は何も出来ずに見送るだけ
それだけでもう一分一秒さえ戻らない
振り返ればあっという間すぎて夢のようだな
気づいても気づかなくても ほころんでゆく命を背負ってる
僕はいつか途切れる道を歩いてる
ほつれていく時間がまたひとつ何かを僕から奪ってゆく
いくら走ってももう追い着けず振り返れば手の届かないものばかりだな
気づいたんだ 生まれたときから生まれていたほころび
僕はいつか終わる物語を読んでいる
僕はいつか終わる物語の中で生きている
僕はいつか終わる物語を読んでいる。