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[189799] 旅立ちの日

詩人:どるとる


期待と不安で 胸を満たしたら
旅に出ようか 名前も知らない街まで

君は笑いながら なるべく僕を
心配させないようにつとめた

新しい街では しっかりやるんだよ
誰かの声が 窓越し聞こえた

手を振る君が遠ざかると
駅のホームが視界の彼方に消えてく

旅立ちの日はよく晴れた青空だった

下手に上手く生きようとしなくていいよ

君らしく笑っていればいいよ

強がる君も 意地っ張りな君も

弱音を吐きながら寂しがる君も

みんな愛しくて抱きしめたくなるの

どっちつかずの表情が 不安にゆがむなら

ここにおいで 僕でいいなら手くらいはかすよ

どこまでも遠くを目指して季節は流れて
変わらないものもやがて色褪せてしまう

空の色もどこかしらあの頃とは違う
大人になって背が伸びたからだろうか

無理はしないで時々は手紙を寄越せよ
愛すべきはずの人たちが遠く見える

送られてきた封筒には 少しのお金と
涙が出るほど優しい言葉の手紙

たとえば何かが違っても僕は僕じゃない

あの日のさよならという言葉はきっと

悲しい言葉じゃなかったはずなんだ

わがままな君も 時折見せる暗い横顔も

隠してるつもりの抱えた傷跡も

君のことならばすべて知りたいの

いつか帰ってきたときに胸を張って

ただいまが言えるように 少しは傷ついておこう

誇らしい傷跡が またひとつ出来たよ

形には ならなくてもほら胸の中開けば

いくつもの思い出が記憶を染める

まるでそれは色とりどりの絵の具みたいさ

旅立ちの日はよく晴れた青空だった

下手に上手く生きようとしなくていいよ

君らしく笑っていればいいよ

強がる君も 意地っ張りな君も

弱音を吐きながら寂しがる君も

みんな愛しくて抱きしめたくなるの

どっちつかずの表情が 不安にゆがむなら

ここにおいで 僕でいいなら手くらいはかすよ。

2015/11/09 (Mon)
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