詩人:さみだれ
2013年の春
ワンルームの部屋に夕陽が差し込む
金星からの電波を含んで
白いクロスに映えるきらきらしたものは
きっと有害なのだろう
町の音がいつもよりしおらしく
とても不安に思えたから
2011年の冬
携帯電話に1通のメールが来る
そのときはただ何を言ってるのかわからなくて
午後からの仕事のことしか頭になかった
家に帰りテレビをつけると
現実味がしなかった
怖くて仕方がなかった
1995年のある日
確かにあの一瞬
世界からはぐれた
夕暮れだけがずっと続いて
長く大きくなった影に
食べられるんじゃないかって
怖かったんだ
ひとりでいることが
2011年の春
喜ばせたかった
きれいな言葉とか
難しい理屈とか
嬉しいと思うこととか
悲しいと共感する心とか
そんなんどうだっていいと思った
理由もない
定義もない
思想もない
それでもいいと思った
2012年の冬
私は悪い人間だった
2013年の春
人間は悲しい生き物だと悟った
自分もまたそれだった
ワンルームの部屋に夕陽が差し込む
月から催促の無線
白いクロスに染みる深い青が
今日の日の私の詩です