詩人:どるとる
がら空きの電車の一両目の 一番前の席に座る
終電が 走り出す 夜の闇の中を
うとうとしてると 夢を見たりする
今日あった出来事 反芻したみたいな
胸の真ん中に青い花が 咲いたような
恋の渦巻き ぐるぐる あなたはもう虜
引き返せない 道を歩いている ほらね
しわくちゃのポスターの厚化粧のグラビア
なんとなく見つめてると 降りる駅に着く
改札を出ると 月がぽっかり浮かんでる
寂しそうに たたずむ街路灯が会釈する
物語の盛り上がり場面は僕にはいらない
退屈な時間を愛せないようならこのまま
終わりに直行 僕にはどうやら幸せは似合わない
余韻に酔いしれることができるのは
ほんの少しの間だけ おごれるな
胸の真ん中に青い花が 咲いたような
恋の渦巻き ぐるぐる あなたはもう虜
引き返せない 道を歩いている ほらね
愛を忘れたような日々 咲いた花も散る。