詩人:どるとる
誰にもわかってもらえないことをわかってるのに誰かに話したい
そんな気持ちになる夜があるのさ
ほら今夜もそんな夜だよ
胸のこのあたりがざわついている
誰かに言えばけなされておしまいになる
そんな気持ちさえ吐き出したい気持ちなのさ
声にならないくらいの悲しみに孤独
嘆きに侘びしさ
そんな障害物が僕の行く手をじゃまするよ
今夜も
朝は何があっても
誰の瞳にもうつる
街の灯もすこしずつ
つきはじめるだろう
今すぐ、言いたいな
でも、言えないな
君はわかってくれるだろうか
今のところ世界でいちばん愛してるおまえは
月明かりに照らされてる僕とこの胸に張り付いてはなれない孤独のワッペン
ひとり夢に落ち
ひとり目覚める朝
繰り返しをただ
繰り返す日々に
なれてしまった
日には悲しいな
どうかそうなるまえに君に話しておきたいよ
邪悪なこの気持ちも
伝えたいこの思いも
夜に街の灯が今日もすこしずつすこしずつ消えていく
そして闇にのまれる街
月の光だけが優しく見える夜にひとりぼっちのさみしさ紛らす鼻歌とたばこ
夢はもう尽きたよ
そしてだいぶ経ったそのあとで気づいた
僕は迷子だってこと
駆け足でここまで来てしまったけど
ここはどこだろう
予想にもしなかった未来
自分の影とたまに君の影が揺れる程度で
あとはただ平穏な日々
それが幸せっていうのかな
僕はいつにもまして真面目に考えてしまったよ あの夜この夜
今日もまた話したいのに話せない
そんな気持ちが街の灯を切なく見せる
揺れる街の灯が心も揺らす 涙をさそう
呑めない酒も呑みたい気分になる
わかってほしいんだ
ただそれだけなんだ
たったひとりの人に
男はね案外繊細なんだ
思いつめて夜も眠れずにいるから
遠くのほうでまた街の灯が小さく揺れた
肌寒い風が吹いていた
そんな夜がいつも。