詩人:ワタナー
彼女が言う愛とは
「思いやり」や「気遣い」、「他人のための自己犠牲」らしい
僕は
「じゃあ僕は君を愛してない」と言った
思うに愛という言葉を初めに考えた人にとって愛というのはただの言葉だったのだろう
意味など使う者が考えることだ
なら僕は君のいう愛を君に捧げる事はできないだろう
いわゆる「愛していない」なのだ
ならば僕の愛はどんなものか
僕は他人のための自己犠牲などただの欲にしか思えない
思いやりも気遣いもただそうしたいだけなのだ
そうしたいからという欲を「愛」だなんて思いたくない
僕は彼女を愛してない
僕は思いやりでも気遣いでも彼女に感じさせたくはない
どちらも僕のしたいこと
だから僕は彼女を愛すことはないだろう
それは僕が彼女が幸せになることを望んでいるからで
僕の欲なのだ
僕が他人を愛す時がくるならば
それは酷く僕が残酷で
他人の事を何の感情も湧かない石のように扱う事しかできない時だ
その時に僕が
石を人として扱う事がまさしく僕の愛なのである
そこには欲も利もない
ただただ愛がある