詩人:高級スプーン
しばらくして
あなたと私
やっぱりね
終わりがきたの
けれど
最後まで
貫き通したものは
やさしい手つき
指、舌づかい
ぬくもりのある声で
この胸を
背中をなでる
熱い吐息ね
興奮してる
で
それで
安心させたつもりなの
ホントは
挿れたいだけなんでしょ
なんて言ったら
どんな言い訳
するのかな
あなたと私
本音を報せない仲で
心を見せない
お互い偽善者
「大好きなんだ」
「愛してる」
どんな甘いささやきも
「ありがとう」
「私も愛してる」
笑顔で返すの
生まれた時から
身につけていたの?
ヨロイを着たまま
気持ち良くなる術を
それならそうと
早くイッてよ
うまくイかないわ
恋愛したフリ
何人と別れ
何人と付き合ったか
数じゃないし
深さじゃないの
不快感と罪悪感が
少しでも
薄まる関係が好き
それは
レプリカだったけど
私たちには
ちょうどいい
そのはずだった
という
嘘だけが残った