詩人:高級スプーン
書きたい自分を捨てて
人を愛す
知らせる空気に
気付けるか
記憶に浮かぶ人
また世界は失った
行き先不明
溺れる黒目
その先を見ても
当たらない在り処
抱いても抱けない
懐の一部分
君は知っていて
指をささないで
黙って泣く
人間らしく
拒めない気持ちが
押し寄せる
雑念を追い出して
近付けもっと
書きたい自分を捨てて
君を愛す
それなら
此処に置かれた
俺はなんだ
こらえた涙は
優しさじゃない
ただ単に眠かっただけ
君は一人で
救われない
俺は一人で
書いている
隣にいるのに
開く距離
書きたい自分を書いて
人を愛せるか
悲しいのは何か
愚かなのは誰か
君は知っていて
指をささないで
黙って泣く