詩人:那薙
うちの母は
子供のわたしに
すごく甘えてくる
わたしは
いちいち抱きついてくる
母をうっとうしく
思っていた
でもそれは
母が子供の頃
誰にも
甘えられなかったからだと
気付いた
両親にいつも怒られ
何も面倒はみてくれず
愛されなかった
母
だから今わたしに
甘えたいんだね
気付かなくて
ごめんね
これからはいっぱい
甘えていいよ
なんて考えてたら
また母が
いつものように
抱きついてくるから
頭を撫でてあげた
母はびっくりしていた
そして泣きそうに
なりながら微笑み
「ありがとう」と
言ってきた
『……おん』
わたしは
泣き顔を見られないように
母を強く強く抱き締めた