詩人:千波 一也
愚問は
ついに完成されぬまま
その
かなしみはいつしか
見ようによっては
魅惑となり
密やかな
きょうの日の加減が
夕陽のなかで
華々しく沈黙をする
断言も
断言せぬことも
それぞれに
おそろしく適度に
未遂をたたえる
昔々
ものごとは
簡潔だっただろう
名前や音や学びや契りや
広く深く難しく
ものごとは
簡潔だっただろう
石は
風にそよがないけれど
それこそが
一部を忘れたものたちの
一途なおごり
なのかも知れない
時を守るすべは
満ちていても
だれもが
孤独に
満たされてゆく
動いているのに
動いていない
森が
森の名が
いつしか互いを遠ざけた
手招くかたちを
留めたまま