詩人:甘味亭 真朱麻呂
憎しみは憎しみを連れてやって来る
悲しみも悲しみを生みにやって来る
憎しみも悲しみも光あるものは生まない
憎しみと悲しみから生まれるものは
同じ様に憎しみと悲しみでしかない
どこかで歯止めをかけなければまた何度も繰り返すだけ
深い憎悪と悲哀を生むだけ
人は愚かな生き物だから
その憎しみをやり返さないことには
悲しみに身を滅ぼしてしまうから
憎しみの牙をむき出しにするんだ
それでも悲しみがはれることはない
一度生まれてしまった憎しみと悲しみはずっと消えずに心に刻まれ、後先の希望に満ちるはずだった人生までもを悲しみに染め狂わせる
光と闇は常に交互し、交差するもの
光が在るところには必ず影が生まれ
闇があるところには同じ様に光がある
闇が深く濃ければ濃いほど
光は目映さを増し
闇の支配を遅らせる
だが、その人の持つ光が弱ければ弱いほど闇は浸食しやすくなる
当然、心は闇一色に染まり、光は効力を失う事になる
光もまた同じ
暗く音もない心の中を這い進むように
憎しみや悲しみは止めどなく生まれる
光も闇もどちらか一方をなくして存在することは有り得ない
どちらも存在してこその光と闇
たとえれば蝶番のように対になって存在する
私たちは誰も
憎しみと悲しみの種を心に宿している
誰もがその種を咲かせるほどの闇を持っている