詩人:どるとる
押し寄せる人波にさらわれていく小さな体躯
今日という一日の最後に見た夕日は
なぜかいつも悲しげに見えるんだ
だからうまく言葉にはできないその時の気持ちは
今日一日だけでも 消えてく命があるなら
明日がある僕らはまだ幸せなのかな
僕らは今自分がどれだけ恵まれているかも知らない
散っていく花の形や色を覚えているかい?
どんな手触りで どんな匂いだったかな
望むのは 誰にとっても損のないハッピーエンド
遠ざかる 今日を見送りながら右手を振る
左手には大事なものを離さずにつかんでる
さよならという言葉が似合わないくらい
これからいろんなことがはじまっていく
そんな淡い期待に満ちあふれている
そんな気がする
名前も知らない喜びに胸は躍らされている
何かが始まりそうな そんな予感がしているよ
本の表紙を開くようにまだ目次にいる
はじまってもいない物語 だから終われもしない
答え合わせに疲れたから たまには闇雲に
手当たり次第に 自分を試してみたいんだ
たとえ 失敗しても気持ちいいだけで痛くないよ
誰かが選んだ 今と自分が選んだ 今を
見比べる事くらいばかばかしい事はない
望むのは 悲しみのあとの喜び いわば雨上がりの虹
悲しみのない世界などいらない
涙に出会わない人生などつまらない
すべての終わりは ひとつの始まりだ
落書きだらけのページもページを捲れば
まっさらな白地
なんとなく 糸をつむぐような 蚕の心で
今日あった出来事を手繰り寄せるように
思い出していた 君がくれたあの痛みも
あの優しさも 間違いなく僕の強さになる。