詩人:さみだれ
"帰りましょう
私のふるさと
無機質な匂い
太陽のまだ遠い
私のふるさと
帰りましょう
幸せなんて
ありはしないのだから
ただひとつ仰ぐ
生命体の原初
そのままに
歩けば遠いけれど
決してたどり着けないわけではない
帰りましょう
私のふるさと
魂の寝床へ"
やわらかい布団
どこまでも沈んでゆき
頑なな意思は
重くのしかかる
派手な色をした概念
彼らは好んで身につけた
淡い気持ちには
濃い味つけをした
臨場感のある正義
神の悪意
なんでもないことを
輪郭や色をつけて楽しんだ
それは神話作り
宇宙が膨張しているなら
それに比例して
彼らの持論も膨張している
不可視すら
彼らは信じなくなった
「ねぇ
見てごらんよ
こんなにも素晴らしいものを
僕たちは見つけたんだよ
それだけでも価値があるんだけどね
羽があれば
きっともっとよかっただろうね
簡単な話だ
僕たちはもう
帰らなきゃいけない
だから歩いていかなくちゃね」