詩人:高級スプーン
いつも空から
僕を見ている
人当たりが良くて
話を合わせるのが巧い
ユーモアを理解し
聞き上手でもある
嫌な顔せず爽やか笑顔
男女問わず好印象
少し童顔
背はそこそこ
スポーツが好きで
特にサッカー
本は読まない
漫画だけ
成績は中より少し上
中学高校大学と
会社に入っても
それは同じ
抱える悩み
人には言わない
たまに愚痴をこぼすだけ
友達はそれなりに
よく遊ぶのは
4〜5人程度
今の彼女は3人目
2歳年下の
部署の違う後輩で
付き合って1年半
そろそろ結婚か
まだ少し早いかな
考え中
最初の子供は
女の子がいいな
それから次は男の子
あなたの子かは
分からないけどね
それから
顔を見合わせて
二人は笑う
そんな幸せ
小さな幸せ
どんな集団の中でも
調和を乱さず
歩幅を合わせて
生きてきた
なんでもない
ありきたりな人生を
楽しそうにね
平凡に
ただ平凡に
生きてきた
感じる視線は無表情
実は他人に
興味ないんです
愛が何かを
知ってどうする
つまらなそうな顔して
眺めているだけ
欠けているなら
それはたぶん
足りてないのは
そう
空に浮かぶ自分自身
特筆すべき僕はないが
それでも
伝えたい思いがあった
使い古された言葉
言葉では説明できない
っていう言葉を
矛盾と共に抱えて
いつも空から
僕を見ている
気付けば終わる
フリをしても終わる
どうせなら円満に
このまま
何事もなかったように
普通の顔して
生きて終わる