詩人:どるとる
過ぎ去りし季節に 置いてきた気持ちが
今さら名残惜しくて手を伸ばす
まるで思い出は車窓から眺める景色
手も届くくらいすぐそばにあるのに
指先さえ ふれることはできなくって
それでも もう一度会いたくなる
笑った顔も 泣いた顔も 昨日のように
思い出せるよ 悲しいくらい真新しい
傷跡の下手くそな縫い目がほどけて
溢れだした涙 止めるすべもない
出会いは 別れるまでの 言い訳みたいなもの
きれいごとを愛せない君はそう言った
夜の向こうに 朝を描いているんだよ
まだ 日も高いうちからうわのそらさ
なくしたものにもう一度出会えるなら
今の僕のすべてをあげるから
瞳はスクリーンになって映し出す
些細なしぐさも めくるめく表情も
全部大切な思い出なのに今の僕には
君のいない世界を思い出すものでしかない
やわらかな雨が 肌を すべるように
流れてゆく 言葉もなくただあるがままに
広がる世界に 僕は最後に何を願うだろう
笑った顔も 泣いた顔も 昨日のように
思い出せるよ 悲しいくらい真新しい
傷跡の下手くそな縫い目がほどけて
溢れだした涙 止めるすべもない。