詩人:どるとる
二番線のホームには冷たい風が吹く
僕らはつたない言葉を縫い合わせながら
いつまでもごまかしていたよ
なんとなく 言い出せなかった
さよならの一言が
離したくない手 振りほどいたら
君が泣きそうな顔で行かないでって言った
ドアが閉まる瞬間窓越しに 君が手を振る
あの時の君は どんな気持ちだったかな
さよならさえも言えない弱虫な僕を
愛してくれた君を僕は生涯かけて愛せるだろうか
白い冬の空に 小さく呟いた愛の言葉
手のひらにこぼれてやがてとけて消えた
よくあるドラマのワンシーンの真似して
ホームに着くなり走って君を抱き寄せた
点数つけて 30点って悪戯そうに笑う
たくさんの思い出を 抱えているけれど
ちっとも重くない
笑ったこと 泣いたこと 喧嘩したこと
泣き腫らした夜は 星を眠くなるまで数えた
すっかり 日の落ちた街並みを 懐かしそうに眺める僕と
そんなにたいして変わってないって顔の君
僕らには少し 距離ができたね
だけどそんな距離などまた 埋めれば いいことだ
ほらね 手を繋げば隙間なく
心はほどよくあったまって いい具合
明日はどこかに行こうか 土曜日だし
たとえば 君の悲しみも
たとえば 僕の悲しみと
少しも違いなんかなくて
だけど 同じでもない
だから、探すんだよ
君が何を 今悲しんでるのか そして何に苦しんでるのか
節穴の目でも 少しは 役に立てる
ドアが閉まる瞬間窓越しに 君が手を振る
あの時の君は どんな気持ちだったかな
さよならさえも言えない弱虫な僕を
愛してくれた君を僕は生涯かけて愛せるだろうか
白い冬の空に 小さく呟いた愛の言葉
手のひらにこぼれてやがてとけて消えた。