詩人:甘味亭 真朱麻呂
学校からの帰り道
いつもの見飽きた下り坂
気づいてみればなんだよ嘘っぱちか
桜はまだ咲かないらしい
退屈なだけの日々にただボクらは身をあずけていたい
訳じゃないだろ
目を覚ますんだ 気を確かに持つんだ
目を開ければそこはいつもの教室内
ボクは何故か一人きり
あの子の席を振り返る
途端に景色は変わって
満開の桜が視界に飛び込む
桜咲く坂道
ガード下の広い原っぱ
色あせた緑色のベンチ
いつの間にか寝ていたようだ
原っぱの木々はもう桜を咲かせて
ひらり舞い落ちて
ボクの手の中を春風に踊らされながら
やがて空に舞い上がっていく
ただボクはそれをいつまでもいつまでも
見ていたんだ
空が夕焼け色に染まるまで。