詩人:千波 一也
僕は
僕としてしか
生きられないうえに
僕をつなぐことで
精一杯なんだ
ここは賑やかな街だから
誰かが代わりに
笑ってくれる
誰かが代わりに
走ってくれる
だけどほんとは
ここは寂しい街だから
僕は
雲を見上げている
変わってゆくけど
変わらない
そういうものを
見守っている
雑踏のすぐそばで
ベンチはいつも
冷たいままだ
言い訳ばかりの僕は
そこに凍えてしまうから
いっそ雨に降られたい
繊細であることは
薄弱であること
想いの分だけ
雑踏は遠ざかる
誰ひとり見向きもしない
僕は知っている
一から十へ
十から百へ
百から千へ
ゆびが疲れたら
みんな消えてしまう
僕は
どこまで抱いてゆけるだろう
由緒の正しい
はかなさを