詩人:どるとる
今にも雪が降りだしそうな 空を見上げて
僕はいろんなイメージを心に落書きしていた
浮かんではすぐに沈んでいく気泡のような思い
忙しなく流れる街並みを 抜け出して
時間からはずれた場所で出会った
ささやかな休日 ため息は白く煙り
冬の色にすっかり染まっていた
いつの間にか広がる夜の向こう
作り物の光で輝いた街も案外美しい
365日の最後の月を彩る真っ白な雪が
濁った僕の心を 白紙にするように
開かれたページにはシミひとつなかった
なんとなく買ったスニーカーで歩いたら
少しだけ何かが違って見えたような気がした
訳もなく急かす 時間だけが 時計を置き去りにしている
一度 着たらもう二度と着ない服みたいに
同じ気持ちにはなれないと知りながらも
何度でも巡る季節にいつかと同じ思いを
重ねてみるけれどやっぱりどこか違うよ
微妙に色合いが異なる絵の具のように
違う形で 僕の心を染める冬の色
いつか出会ったような気持ちの筈なのに
目にするたびにはじめての感覚が胸を貫く
万華鏡のよう 覗きこむたび新しい景色
だけどこの切なさだけはいつも同じ色
流れ行く 人混みに酔いながら たどり着く
夕暮れさえも なぜかどこか寂しげで
言葉にならない気持ちにさせるよ
名前のない気持ち手のひらにのせて
ぎゅっと 握ると手の中で たやすくとけた
僕は忘れない暫く残った冷たさを その時の思いを
いつの間にか広がる夜の向こう
作り物の光で輝いた街も案外美しい
365日の最後の月を彩る真っ白な雪が
濁った僕の心を 白紙にするように
開かれたページにはシミひとつなかった
そしてまた 僕は 道ともいうべき新しいページに
小さな一歩をゆっくりと刻んでいく
その一歩からまた始まる 行きつ戻りつの振り出しからのストーリー。