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詩人:COIN
星がひとつも見えない夜。
その日はとても寒かったけれど、
しん、とした静寂が
やけにさびしくて。
そっとベランダの窓を開けた。
暖かかった部屋に
ゆっくりと、
ゆっくりと、
浸透していく冷たい空気に
ちょっとだけ、
泣きそうになった。
ぬるい空気につつまれて
静寂に耳を傾けてみれば、
君のやさしい囁きが、
聞こえた気がして。
なんだか余計に、涙を誘った。
君に会いたい、逢いたい。
声をきいて、ふれて、
温もりを確かめて。
いっそひとつになるくらいに
つよく、抱きしめたい。
君が愛しい。
そんな、ひとりの夜。
星がひとつも見えない夜。