詩人:SAD
せっかくの大きくて丸い月が
ビル達に隠されてしまって
電車の窓からでは
見続けることができない
重たそうな濃い黄色の月も
ビルの群れから抜け出した頃には
すっかり色も褪せ 力を失っていた
いい加減慣れきった夜勤でも
何でこんなことしてるのだろうって
思ったりする
こんな月の日に思ったりする
壁を這う蔦が怖いぐらいに勢いよく
生きていた
日が当たらない側の壁は
一面深緑色に見えた
重力に引っ張られているのか
行き場を探しているだけなのか
下へ下へと伸びていた
電車を待ちながらずっと見ていた
何で生きているのだろうって
何を探して生きているのだろうって