詩人:けむり
ああ… 美しくなりたい…
空高く飛び続ける鳥よ
わたしをねめつけるオオタカよ
お前に触れられるほどに
お前の足に口づけられるほどに
ああ…
2005 風がはねつける
先細りの25階から飛び降りたわたしを
大気はわたしを包み込みはしないか
風はわたしを踊らせはしないか
絶望が胸の内を無限に反射する
幸せからおびただしい歩数を側方にずれた、進行形のわたしを鏡はうつしきれずに割れる
切なさをすべるイエローの球体がわたしを見ている
悠久を知るその目は沈黙を良しとしている
落ちていく
それ以外に可能性のない速度で
生命は、輝き
生命は、喜び
生命は、素晴らしさ ああ…
ああ… 風の音が聞こえる
わたしは中空でちぎれていく
粉々になり、世界中へ散らばっていく
そしてわたしはあらゆるものを賛美する
またあらゆるものに異を唱える
つまりわたしは風になるのだ
刹那、逡巡(しゅんじゅん)するのさ