詩人:甘味亭 真朱麻呂
肩まで浸かろう
冷え冷えとした冬は尚更
肩まで浸かろう
洗面所は寒いから
でるまでには身体をポカポカにしなくては
大人になるたび
浴槽からあふれるお湯の量が増える
今日もお仕事ご苦労様
自分にそう呟く
風呂上がりは冷えたビール
おつまみに枝豆
相場は決まってる
でももう少し浸かろう
子供のように三十秒数えてさ
肩まで浸かって
もやがかかった浴室内から見る
窓の外に月がひとつ
もう少しそれを見てから
でるのはそれから
だから
肩まで浸かろう。