詩人:どるとる
ひとつずつなくしていく 僕はいろんなものを
手放していくように 見えないものも見えるものも
大切なものも いらないものも
形容しがたい 気持ちになる ただ立ち尽くす
絶対的な運命の前にはどんな 言い訳も意味をなさない
誰かとの思い出が 隙間を絶え間なく埋めていく
あなたの手をつなぐのも
あなたにキスをするのも
その寂しさを紛らすためかも知れないよ
僕はあなたが思うよりずるくて
僕はあなたが思うより情けなくて
汚い人間かも知れないよ
それでも愛してくれるというなら
僕は そんな君を傷つける僕を許せなくなるよ
だからあなたを愛している僕は あなたを愛してゆく
計算なんかいらないよ 心があればほかのものはいらない
悪魔に なり損ねた 折れたナイフが 突き刺したものは僕の胸だった
その痛みが 僕を人間だということを思い出させてくれる
温かな血潮が 僕の傷跡を優しく濡らしていく
涙と血潮が混ざりあった 僕はただの人間です
あなたをただ見つめること
あなたにただ触れること
ただそれだけで愛になるなら 君が幸せになるなら
僕は 何度でもあなたを見つめるよこの手でふれるよ
何もできないせめてもの償いに
あなたを愛してることを どうしても証明したくて そのためなら僕は何でもする
あなたに愛されていることを 確かめたくて少し僕は悪魔のふりしてただけなのさ
例えていうなら そうだなあ
傷だらけの林檎がちょうどいい
林檎はどんなに形が悪くても
味は変わらない
ほら愛だって少し見かけは悪くても 愛なんだということを思い出す
こんな僕でも ただひとりの人を愛することくらいできることを思い知らされる。