詩人:どるとる
君の小さな手のひらに こぼれた
涙のような雪のかけら
体温にふれたそばからすぐに溶けて
跡形もなくなってしまう
命もまた こんなふうに消えてしまうのかな
あと少しの 命を持った誰かの 心情を思う
見渡すかぎり この街は とても幸せそうなのに
僕には見えない 悲しみが 誰かのほほに涙を降らすなら
僕にはなにができるだろう それともなにもできないのかな
夕暮れの空 見上げながら いつの間にか僕の頬を雨が降る
今日も雨が 街を濡らしている
傘を差した人たちが群れをつくる
幸せの意味などを探しながら
ふと気づくと誰かの手を握ってる
人は一人じゃ生きていけない生き物だ
だけど孤独でも生きてしまえる生き物だ
人混みの中に 紛れ込むとき こんなにたくさんの人がいるのに
ちっとも 寂しさをぬぐえないのは 誰もが孤独を抱えてるから
その寂しさを その切なさを たとえば言葉に変えられたなら
きっと 寂しさと寂しさが出会う場所に愛は生まれるんだろう
川のように流れていく 人波
喧嘩する人さえもそばにいないことが
こんなにも悲しいのは 多分人の 優しさを知っているから
一人が寂しいと思うことができるんだろう
見渡すかぎり この街は とても幸せそうなのに
僕には見えない 悲しみが 誰かのほほに涙を降らすなら
僕にはなにができるだろう それともなにもできないのかな
夕暮れの空 見上げながら いつの間にか僕の頬を雨が降る。